井齋 偉矢『西洋医がすすめる、カラダが瞬時に蘇るサイエンス漢方』
一般的な漢方薬には「伝統的」「身体にやさしい」「じっくり効いてくる」といったものや「陰陽論」「五行説」「気血水」「証」などの専門知識が難しそうというイメージがあるのではないでしょうか。
実は漢方薬の専門知識は後付けされた理論であり、本来、それらがなくても漢方薬は簡単に処方できるというのが、著者の提唱する「サイエンス漢方処方」です。
サイエンス漢方処方には2つのポイントがあります。1つは漢方薬のイメージと現実について。漢方薬は効くまでに時間がかかると思われがちですが、使い方次第で速効性があるということ。
もう1つは現代医学の考え方で、医師であれば誰もが簡単に効果的かつ安全に漢方薬を処方できるということです。
当書籍ではサイエンス漢方処方に基づき、症状別に処方される漢方薬名や飲む量、タイミングなどが解説されています。
ポイント
病気の初期に効かせるポイント
漢方薬の処方は「1日3回に分けて」が一般的です。それに対し、サイエンス漢方処方の特長は病気の初期段階において漢方薬を増量し「効かせる」ことにあります。そもそも日本の漢方薬の処方量は中国に比べて少なく、1/3~1/5の量であり、増量しても問題がないと書いています。もちろん薬によって増量可能な上限は異なるそうですが、一例として挙がっている「小青龍湯」の場合は、日本の処方の2倍量でもまったく問題がないとのことです。
漢方薬しかできない4つの働き
また漢方薬にしかない働きとして以下の4 つが挙げられます。
1つ目は免疫機能を正常化し、身体に本来備わっている「治る」力を高める働き。
2つ目は全身の血液の流れをよくする働き。
3つ目は細胞内の水分を調整する働き。
4つ目は身体の芯を温めて、手足にも熱が行き渡るようにし、冷え症を治すようにする働き。
これらは西洋薬にはないもので、漢方薬の優れた面であるといっていいでしょう。
【ヒトコト】
当書籍では「疲れ」、「弱り」、「不足」、「冷え」の4つの症状について具体的な処方( 漢方薬名と用法・容量など) が解説されています。
この解説が初心者にも分かりやすく、当書籍の特長といっていいでしょう。
漢方薬にご興味のある方は一読してみてはいかがでしょうか?