【飼い主・ 藤芳樹様、直子様 について】
藤(とう)ご夫妻は、川崎市にお住まい。ご主人は小さい頃から動物好き。直子様は、金魚や小鳥などは買っていたものの、世話が必要な動物を飼うのは、モモが初めてとのことです。
【池田眞三院長について】
池田院長は、東京の動物好きの家庭に生まれました。「今までの人生で犬と離れたことがありません。ハイハイしていた頃から、もう犬が上に乗っかっていました。猫は障子を破って飛び出し、拾った犬猫も家を出入り自由。動物だらけの家でした」。
そんな池田さんが獣医になるのを決めたのは、高校3年生の時に、愛犬を病気で亡くし、その原因となったフィラリアの幼虫を獣医さんに顕微鏡で見せてもらった時に、「そうか、この菌が自分の犬を殺したのか。よし、これと戦う医者になろう。動物の命を救おう」と心に決めました。
その後、日本大学獣医学科を卒業し、13年間の勤務医生活を経た後、35歳で池田動物病院を開業しました。池田動物病院は、東洋医学を積極的に活用していることが特長です。東洋医学に関心を持ったのは「自分が病気になった時に、東洋医学の考えが有効だったので、これを動物の診療にも活かしていこうと考えました」とのこと。現在は、獣医伝統医学会の理事。また鍼灸師の資格も持っています。
(藤直子様):モモは、生後40日で我が家にやってきました。子供のいない私たち夫婦にとっては、文字通り、家族の一員、子供です。そんなモモも、もう18歳、人間で言えば100歳過ぎのおばあちゃんになってしまいました。もう目は見えませんし、耳も聞こえません。毛もだいぶ抜けてきましたし、乳腺腫瘍もできています。最近は歩くこともままならなくなってきました。主人は、毎晩、モモといっしょの布団で眠っています。気がかりでならないそうです。
でもこれは病気ということではなく、自然のなりゆき、老化というものです(だって100歳なわけですから)。モモとのお別れの日は近づいています。私としては、このまま自然に苦しまずに日々を過ごしてほしい。ある朝、目覚めてモモに会いに行ったら、その時、眠るように、おだやかにこときれていた...、そんな、優しい最後を迎えてほしいと思っています。
池田動物病院には2年前に初めて来ました。その頃モモは、小さい頃からのアトピーがさらに悪化していて、ほとんど毛が抜けたむきだしの状態で、皮膚が爛れ、匂いもひどくなっていました。でも、2年間通い続ける中で、池田先生が鍼灸などさまざまな処置をしてくださいまして、今は、だいぶ毛も生えてきました。また匂いの方はすっかりなくなりました。本当にありがとうございます。
(池田先生):もうモモに対しては、「治療」という考え方はとっていません。「治療」とは「病気を治す」ことですが、でもモモは病気ではありません。いまモモに起こっていることは、長生きした犬の、一生の最後の段階で起きる、その当然のことが起きているだけなのです。モモは、見た目はだいぶ老いさらばえてはいますが、でも、別に苦しくはないんですよ。
毎日、藤さんと一緒にのんびりと優雅に暮らしているんです。私がやるべきことは、先ほど藤さんからもお話のあったとおりに、残り少ない日々を、モモと藤さんご夫妻が、健やかにのんびりと暮らしていけるよう、モモが安らかに天寿が全うできるよう、モモに残された生命力を引き出す、そのお手伝いをしているだけです。
(池田先生):「治癒(治して癒やす)」という言葉があります。私は、この言葉のうち、「治」の方が西洋医学で、「癒」の方が東洋医学だと考えています。西洋医学は、「病気を取りのぞく」という考え方を取るので、例えばウイルス性の病気の治療には大変に有効です。一方、東洋医学の方は、「自然治癒力を高める」という考えを取るので、慢性疾患などに有効です。どちらが良いということもなく、役割分担が違うというだけの話です。両方をバランス良く取り入れることが大事だと思います。
人間の皮膚が切れたときのことを考えてみましょう。傷口を縫い合わせるのは医師です。でも皮膚がくっつくのは人体の自然治癒力のおかげです。ちなみに糖尿病の人は、縫った後の皮膚のくっつきが遅くなります。自然治癒力の大事さがわかる話です。
「病気を治す」ことだけに注目していると、病気(または病原菌)はなくなったけれど、動物本体がすっかり弱ってしまったということにもなりかねません。それでは本末転倒です。
モモの乳腺腫瘍は、それだけを見れば「腫瘍」なので、ただちに切除するべきだという考え方もあるでしょう。でも、そんなことをして、モモが弱ってしまったら意味もありません。私としては、「腫瘍を取る(病気を治す)」ことよりも、「モモと藤さんご夫妻が幸せに暮らせること」の方が大事だと考えているのです。
とはいえ、何でもかんでも「自然治癒」に頼るのも不適切です。ウイルス性の病気で高熱が出ているような時に、自然治癒がどうのと悠長なことを言ってはいけません。まずは熱を下げるべき、抗生物質を打つべきであるといえます。
ですが、モモは病気ではありません。単に一生の終わりが近づいているだけのことです。今のモモには東洋医学が適していると思います。
モモには健康維持のための施策をいろいろ施しています。サプレットプロもその一つです。上薬研究所にはこれからも良いサプリメントを作り続けていただくことを希望します。これからもよろしくお願いします。
※ 池田動物病院のホームページ
※ 取材日時:2012年4月
※ 文中に記載されている数値など情報は、いずれも取材時点のものです。
※ 取材制作:カスタマワイズ