秋下 雅弘『薬は5種類まで―中高年の賢い薬の飲み方』
年齢を重ねていくと病気になりやすくなり、病院に行くと様々な種類の薬を処方されます。
しかし、それらの薬には「副作用」があることをご存知でしょうか?
当然ですが薬の種類が増えれば増えるほど身体に対するリスクも増えてきます。とくにシニアになると薬が効きすぎたり、複数の薬の飲み合わせでより副作用が出やすくなったりということが問題になってきます。飲む薬がどんどん増えることで更に副作用のリスクが高まってくるのです。
当書籍の著者は東大病院の「老年医学」専門医。その著者が子供には子供の医薬品の飲み方があるようにシニア以降の賢い薬の飲み方があると解説している1 冊です。
ポイント
シニアは薬が効きすぎる
胃薬を飲んだら意識がもうろうとしてしまうような事例が発生しています。当然、医師はこれを薬の副作用によるものであると認識しません。結果、本来は必要がないふらつき防止の医薬品が処方されます。
実は薬の副作用は年をとるほど発症しやすく、とくに問題になるのが「効きすぎる」ということです。
シニアは若いころと同じ用法容量で飲んでいると効きすぎて危険な場合があります。
また、老化により複数の病気を発症し、薬が増えていくことがあります。これら複数の薬を多く飲むことを「多剤併用」といいます。「多剤併用」の一番の問題は薬同士の相互作用です。3種類以上の薬を飲んでいる人は多くいますが、実は3種類以上薬を飲んだ場合の相互作用のデータが存在しないという事実があります。
著者は飲む薬を5種類までに抑えることを勧めています。薬が6 種類を超えると副作用が15%くらい跳ね上がるためです。副作用防止のためにもその薬が本当に必要なのかを今一度、確認することが大切です。
【ヒトコト】
当書籍で最大のポイントはシニアには飲むべきでない薬があることです。
日本老年医学会ではシニアに問題が多い薬を「慎重投与薬」と呼び、具体的な商品名を挙げて公表しています。高血圧などの病気ごとの薬の飲み方なども著者が具体にアドバイスをしています。
医薬品を飲まれている方は一度、目を通してみてはいかがでしょうか?